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令和大相撲の暫定王者は白鵬(2020年4月時点)から誰かの手に渡ったのか?

大相撲で史上最多の45回の優勝を果たした横綱白鵬が29日、現役引退の日本相撲協会に届け出ました。30日の理事会で承認される見通しとのことです。

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白鵬は2020年7月の名古屋場所で右膝の古傷が悪化して以降は休場続きで、2021年名古屋場所で復活の全勝優勝を果たしました。9月の秋場所場所は所属部屋の力士が新型コロナウイルスに感染した影響で全休となったため、連勝したまま土俵を去ることになっています。

遡ること2020年4月、令和大相撲の暫定王者を考える記事で、暫定王者になったのは白鵬でした。これは平成最後の「平成31年春場所」で優勝した白鵬を令和開始時の「王者」とし、その後の取り組みで「王者」に勝利した力士を次の「王者」としていく取り組みです。暫定王者はさまざまな力士を巡り巡って、最終的に白鵬の手に戻ってきていました。

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本記事では、2020年5月場所以降の結果を追って、現在暫定王者の称号がどの力士の手に渡っているかを確認します。白鵬の休場開始のタイミングや最後の出場場所の対戦相手によっては、白鵬暫定王者を背負ったまま引退している可能性もあるかもしれません。

令和2年夏場所

2020年5月に開催予定だった夏場所ですが、新型コロナウイルスの感染拡大などを受けて中止になりました。

白鵬(場所自体が中止のため変動なし)

令和2年名古屋場所

白鵬(1〜10日目)→大栄翔(11〜15日目)

2場所ぶりの開催となった名古屋場所で、白鵬は圧巻の10連勝スタート。10日目は横綱として1000回目の出場でもあり、全勝で並んでいた朝乃山が破れて単独首位に立ちました。しかし翌日、そこまで6勝4敗と決して好調とは言い難かった小結・大栄翔に立ち会いから体勢を崩されて敗北。白鵬は翌日も御嶽海に敗れ、13日目からは休場となりました。

大栄翔は白鵬に勝利した勢いそのまま、千秋楽まで連勝街道。11勝4敗で、殊勲賞を受賞しました。

令和2年秋場所

玉鷲(1日目)→正代(2〜3日目)→照ノ富士(4〜9日目)→隆の勝(10〜12日目)→翔猿(13日目)→貴景勝(14〜15日目)

暫定王者が連勝を続けていた先場所と打って変わり、何度も暫定王者が入れ替わる事態となりました。関脇になった大栄翔は初日に玉鷲に敗れ、玉鷲も2日目に正代に敗れます。この時点で前頭筆頭まで番付を戻していた照ノ富士が4〜9日目まで連勝するも、暫定王者は隆の勝・翔猿を経て、最終的には大関貴景勝の手に渡りました。

令和2年九州場所

貴景勝(1〜8日目)→翔猿(9日目)→照ノ富士(10〜15日目)→貴景勝(優勝決定戦)

白鵬鶴竜の2横綱が全休で、場所中に朝乃山・正代の2大関が休場した場所は、大関貴景勝が奮起しました。無傷の8連勝で勝ち越すと、9日に翔猿に敗れたものの1敗のまま千秋楽を迎え、照ノ富士に本割で負けた後の決定戦を制して優勝を果たしました。

令和3年初場所

御嶽海(1日目)→宝富士(2日目)→高安(3〜4日目)→大栄翔(5〜8日目)→宝富士(9〜10日目)→明生(11日目)→大栄翔(12〜15日目)

先場所優勝した貴景勝ですが、この場所は4連敗から始まり最終的には2勝8敗5休と散々な結果に終わりました。両横綱も引き続き全休の中、5〜8日目と12〜15日目に暫定王者の座に君臨したのは前頭筆頭・大栄翔でした。大栄翔はこの場所、13勝2敗で初優勝を飾りました。

令和3年春場所

白鵬(1〜2日目)→阿武咲(3日目)→朝乃山(4〜6日目)→霧馬山(7日目)→正代(8日目)→大栄翔(9〜11日目)→若隆景(12〜13日目)→碧山(14〜15日目)

番付を小結に上げた大栄翔と初日に対戦したのは、昨年の名古屋場所以来の復活を遂げた横綱白鵬白鵬は大栄翔を破り翌日も勝利しましたが、3日目に突如の休場。不戦敗で阿武咲に暫定王者が移りました。その後も暫定王者の座は安定することなく次々と遷移し、最後は前頭12枚目の碧山の手中に収まり場所を終えました。

令和3年夏場所

碧山(1〜8日目休場、9日目勝利)→宝富士(10〜12日目)→正代(13日目)→貴景勝(14〜15日目)→照ノ富士(優勝決定戦)

碧山は怪我の影響で9日目からの出場。出場初日こそ勝利したものの、翌日には宝富士に敗れました。場所終盤に暫定王者の座を争ったのは貴景勝と、この場所に再び大関に復帰した照ノ富士。千秋楽結びの一番は貴景勝照ノ富士を破り優勝決定戦に持ち込みましたが、照ノ富士が決定戦を制して2場所連続の優勝を決めました。

令和3年名古屋場所

照ノ富士(1〜14日目)→白鵬(15日目)

暫定王者が巡り巡った過去数場所とは打って変わり、暫定王者で綱取りにも臨んだ照ノ富士が連勝街道を猛進しました。そして、先場所の全休を経て復帰した白鵬も、同じく14連勝。全勝同士の千秋楽を制した白鵬が復活の優勝を遂げると同時に、再び暫定王者に返り咲きました。

令和3年秋場所

白鵬(全休)

冒頭で述べた通り、白鵬は所属部屋の力士が新型コロナウイルスに感染した影響で全休となりました。場所後には引退を発表したため、今後は暫定王者をかけた取り組みが発生しません。令和大相撲の暫定王者を背負ったまま、引退という運びとなります。

おわりに

本記事では、令和大相撲の暫定王者の推移とともに、各場所を振り返りました。白鵬暫定王者の肩書きを持ったまま引退することになり、綱取りの照ノ富士と長らく相撲界を支えた白鵬の全勝対決が、令和最後の暫定王者をかけた取り組みだったことになります。少し出来すぎな物語かもしれませんが、暫定王者という観点で振り返る相撲史も面白いなと感じました。平成最後の場所で優勝し、そして最後も暫定王者となったまま土俵を去っていった白鵬関に、感謝の意を表明したいと思います。