u++の備忘録

「サブスクリプションミートアップ vol.1」に参加しました(全発表まとめ)

本日開催された「サブスクリプションミートアップ vol.1」に参加しました。サブスクリプション事業における知見共有を目的とした会で、中でもKPIの運用・計測などアナリスト的観点の話が中心でした。

subscription-meetup.connpass.com

開催趣旨は、当日も説明に使われた次のスライドにまとまっています。


残存率の推移シミュレーションによるLTV予測と費用対効果の可視化手法

五島 陽さん / 株式会社ドワンゴ

やりたいこと=LTVの予測

  • 投資判断基準の明確化のため
  • 意識している点
    • 回収期間を決める
    • LTVは一つではない(組み合わせの切り口次第)
  • 算出方法

費用対効果の可視化手法

  • 「期待売上」「ROAS(期待売上/費用)」の散布図
    • logを取ったり、偏差値に変換したり

所感

  • 可視化時に対数を取るのはよくやるが、偏差値を取るのはあまり発想になかった
  • 確かに一般に理解しやすい気がするので、機会があれば試してみたい

カスタマーサクセスの効果を可視化・定量化・KPI化した話

鎌田 真太郎さん / freee株式会社

やりたいこと/やったこと

  • (LTV = 新規獲得MRR × Lifetime)は指標として有名だが、施策のKPIとして「遠い」
    • 効果測定の一貫性が薄い
    • 1つの施策が全体に与える影響は多くない
  • 追いやすい中間指標を作った
    • (詳しくは内緒らしい)「よくないActivity Log / 経理労務などの作業アウトプット数」みたいな指標

反省とこれから

  • 失敗
    • 中間指標の中間指標が大量発生してしまった
    • SaaS Matricsとの距離感が微妙
  • 反省
    • 複雑にしすぎた
    • 「良くないものを減らす」は人間の感情的に良くないのかもしれない
      • 増やす方向の指標の方が楽しい

所感

  • 「KPIを新規作成する場合、減らすより増やす方向の指標の方が良さそう」という視点は、新鮮で面白かった

初心者アナリストのくせに継続率を爆上げした話

椋林 淳一さん / Retty株式会社

前提条件

  • Rettyのミッション:レストラン情報で、個別最適
  • サブスクリプションしてもらうのは、お店側
    • 顧客には無料で使ってもらう

やったこと

  • 継続率が上がっていない課題を発見
    • サービスへの満足
      • どれだけ送客できるか
      • お店が来店実感しているかどうか
  • 顧客との関係性強化
    • 介在価値(営業部門への関連)
  • セグメンテーションして、とにかく仮説を出す
    • A群:初回更新タイミングで更新している店舗
    • B群:初回更新タイミングで解約している店舗
  • プロダクトを触って、仮説を出す
  • とにかく仮説を洗い出して、良い結果が出るまで仮説検証

結論

  • "User Happy"なお店が良い
  • 駄目な例(どんなお店か分からない)
    • 写真がない
    • 推しポイントが分からない など

送客、継続インパクトが大きかったもの

  • ネット予約
    • 送客が増えるだけでなく、来店実感もしてもらえる
  • 来店したくなるコース
    • 魅力的なコース情報を充実させる

結果

  • 継続率成長率が160%に
  • プロダクト側とビジネス側の両方の課題を解決
    • プロダクト側:店舗情報が不十分だった
    • ビジネス側:継続率向上のための施策が不明瞭だった

所感

  • Rettyは次のブログでデータ分析組織の存在を認知していたが、より具体的な事例が聞けて良かった

engineer.retty.me

サブスクリプションはなぜ失敗するのか

重村 裕紀さん / 株式会社 FiNC Technologies

やったこと

  • FiNCプレミアムの退会率改善のグロースハック
  • ABテスト、分析ダッシュボード作りを繰り返す→3カ月後、全く解約率下がらず・・・
  • 社内・社外のPMに相談
  • 頂いたメッセージ「コア機能にフルスイングしろ」
    • いろいろな機能がそこそこ使われていたが、当時継続して利用されるコア機能が存在しなかった
    • FiNCオリジナル体組成計を無料で使えるようにし、コア機能として押し出し
  • トライアル期間の退会率が15%改善

サブスクリプション事業において重要なこと

  • 売上=会員数 × 月額料金
    • 月額料金は変えづらいので、会員数を増やすことが基本になる
  • 会員を3分類
    • ヘビー(ここを増やすのが重要)
    • ライト
    • 休眠
  • 新規開拓に頼らない戦略が取れると、マーケティング経費を抑えて投資に回すことができ、良いサイクルに突入していく
  • チャネルごとに「初回利用率」を上げることでヘビーユーザーを作ろうとしている

所感

  • 「コア機能を作り、ヘビーユーザーを積み上げ続ける」という端的なメッセージでマーケティングを推進しているのは分かりやすくて良かった

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