はじめに
OsciiArtさんの下記のツイートで興味を持ち、観に行きました。本記事では、ネタバレ要素を含みつつ、徒然と感想を書いていこうと思います。
『アルキメデスの大戦』を観た。傑作。kaggler、データサイエンティストは絶対に見て欲しい。kaggleのプロセスをそのままエンターテイメントに昇華している。こんなことが出来るなんて。感動だ。
— OsciiArt◆SPNEXTcRxQ (@osciiart) August 13, 2019
あらすじ
事前の触れ込み通り、まさに「データ分析」を題材にした映画で、主人公の天才数学者・櫂直が旧態依然の組織の中で奮闘します。
時は1933年、海軍では巨大戦艦の建造を巡った対立が発生していました。来たる戦争に向けて華美な巨大戦艦を建造したい「建造推進派」と、新世代の海戦を見据え機動力のある航空母艦を推す「建造反対派」です。
旧態依然な文化が根強く残る海軍の中では「建造推進派」が優勢でした。2週間後の最終決定の会議までに状況を覆したい山本五十六ら「建造反対派」は、巨大戦艦の建造費が過剰に小さく見積もられていると感じた点に目をつけました。
山本五十六は天才数学者の主人公に、巨大戦艦の建造費の正確な見積もりを依頼。しかし、主人公は戦艦のドメイン知識もなく、今回建造予定の巨大戦艦の詳細情報もありません。そのような中で付け焼き刃ながらドメイン知識を身につけ、地道な情報収集も重ねていきます。
「建造推進派」による数々の妨害にも屈せず、巨大戦艦の建造費の予測値を算出した主人公。予測値を突きつけられた「建造推進派」の反応、そして巨大戦艦の建造の顛末は・・・?
(続きは劇場で)
感想
『アルキメデスの大戦』、泣くタイプの映画じゃないのは百も承知だけど、いろいろ感情移入して泣いてしまった……
— u++ (@upura0) August 18, 2019
「データ分析の能力を見込まれた主人公」=「データサイエンティスト」と見立てて、感情移入してしまいました。まずは「データ分析で課題が解決できそう」という目論見で呼び出されるも、使えるデータがほとんどない状況。ドメイン知識もない主人公が自ら様々な場所に足を運んでデータを収集し、少しずつ知見を得ていく姿は胸を打つものがあります*1。
そして「建造推進派」による数々の妨害。主人公がデータを手に入れられないような政治的な根回しや、最終決定の会議の前倒しなど、フィクションでありながら妙なリアリティのある出来事*2が巻き起こります。「突然やってきた素人の主人公が成功したら困る」という理由で、「建造反対派」であるはずの設計士が主人公に非協力的な部分も、実に人間味にあふれて生々しかったです。
最後に、巨大戦艦の建造費の予測値を突きつける際の描写です。詳細部分は映画の根幹になってしまうので割愛しますが、如何に正しくても数式を押し付けるだけでは聴衆に響かない点や、数式を超越する物事の存在など、多くを考えさせられるクライマックスでした。