u++の備忘録

機械学習を用いたサービス開発者として最近読んだ3冊

機械学習を用いたサービス開発者として、最近読んだ3冊の簡単な紹介です。 ここ2年ほどは、自らプロジェクトを設計して推進する立場も多くなってきました。 いずれも手元に置いておいて、しばらくして読み返すとまた違った気づきがあるような書籍だと思います。

『よくわかるパーソナルデータの教科書』(オーム社

企業でのパーソナルデータの利活用について、法律・倫理・技術など分野横断で解説している書籍です。 平易な文章で具体例多めに書かれていて、非技術者でも取っ付きやすいと思います。

機械学習を活用する上で、入力となるデータや出力されたスコアの扱い方には細心の注意を払う必要があります。 「個人情報」や「パーソナルデータ」とは何か、情報技術分野との用語の使い方の違い、意識すべき観点など、頭の中を整理しておく上で役立つ情報がまとめられていると感じました。 改めて気を引き締め直す良い契機となりました。

www.ohmsha.co.jp

機械学習工学 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)』(講談社

機械学習を用いたソフトウェアの開発・テスト・運用の方法論について、体系的な整理を試みている書籍です。 機械学習が徐々に市民権を経て日常的に使われている中で、高い予測性能の実現に限らない広範な話題を扱っています。

目次を参考に興味のあるところだけ目を通し、必要に応じて参考文献を深掘りするような読み方ができそうです。 個人的には、第8章「機械学習知財・契約」を特に重点的に読み込みました。

なお本書は、講談社からご恵贈いただきました。

www.kspub.co.jp

『デジタル空間とどう向き合うか 情報的健康の実現をめざして』(日本経済新聞出版)

フェイクニュース」「フィルターバブル」「エコーチェンバー」といったインターネットの登場で発生した新たな問題を取り上げ、解決に向けた方向性を議論している書籍です。 情報の受け手としてだけでなく、発信者・プラットフォーム運営者・政府などさまざまな立場で熟慮すべき視点を整理し議論しています。

著者はSNSや炎上の定量分析で有名な計算社会科学者の鳥海不二夫教授と、情報社会における人権や自由の問題を考察してきた法学者の山本龍彦教授です。 特に普段なかなか接する機会が多くない憲法学の視点からのメディアの役割の議論もあって、大いに勉強になりました。

bookplus.nikkei.com