【書籍メモ】『経済セミナー12・1月号』特集「機械学習は経済学を変えるのか」
Twitterで流れてきた『経済セミナー12・1月号』特集「機械学習は経済学を変えるのか」が面白そうだったので購入しました。簡単にメモしておきます。
#経セミ 12・1月号の特集ラインナップ:
— 経済セミナー編集部 (@keisemi) November 22, 2019
対談=デジタル化と機械学習が社会を変える
…上野山勝也×成田悠輔
経済分析のツールとしての機械学習…依田高典
機械学習に潜む公平性の問題 …小宮山純平
機械学習はデータを解釈できるのか?…今泉允聡
機械学習は自然実験を作り出す…矢田紘平・成田悠輔 https://t.co/3B3nXmPWFM
所感
冒頭のPKSHA Technology代表取締役の上野山勝也さんと、イェール大学助教授の成田悠輔先生の対談は、示唆深い内容が多かったです。
前半は、機械学習を用いることで経済学で言うところの「回帰不連続デザイン」の状況を作り出せるという話など、機械学習と経済学の接点について議論が交わされます。両者の専門の立場から対談の土壌を擦り合わせている印象でした。経済学の問題に機械学習を利用する文脈で、優れた予測モデルが発表されると「その裏を取る」人々が出現して予測モデルの整合性が崩れるという話は、意外な視点で考えさせられました。
後半では、機械学習モデルの公平性の問題や、教師あり学習では目的などを人間が設計する必要がある点など、機械学習を社会問題に適用する際の問題点に関する議論が多かったです。選挙や宗教など、あまり機械学習や情報処理の文脈では出てきづらい話題も登場していて、個人的満足感も高かったです。
続く4つの寄稿は、いずれも対談で言及されたような経済学✕機械学習の話題でした。1本目は両者の強み・弱みを踏まえつつ因果を扱う観点で融合しつつある側面を事例と共に紹介しています。2本目は近年SNSでも時折話題になる公平性の話題で、信用履歴・再犯予測・オンライン広告などの背景・事例・今後の展望を概観しています。3本目は主に深層学習での特徴量抽出の性質を取り上げ、解釈に向けた研究や経済学的な利用が可能かを議論しています。4本目は対談にも登場した成田先生らによる原稿です。経済学におけるランダム化比較実験や回帰不連続デザインと解釈できるような特徴が機械学習から生み出されるという、経済学と機械学習の両者を橋渡しするような興味深い話でした。
購入方法
ご丁寧に公式アカウントにご教示いただきました。
大型チェーン書店やネット書店でお求めになれます。あるいはこちらからもお申し込み頂けます。ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。https://t.co/wCifGcpRZH https://t.co/jdUO4M6eew
— 経済セミナー編集部 (@keisemi) November 27, 2019